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スネイプ教授が図書室を去ったあとも、 が呼びに来るまでずっと本を読んでいた。

大広間で夕食をとって、寮の談話室でが、クィディッチの選手について皆と話している中、時折の言葉に笑顔で答えながら、一人掛けのソファで借りてきた本を読む。


――――切り取った小さな妖精の羽根

お母さんが良く読んでいたと、教授が言った本の内容は、題名の通り、小さなの妖精の羽根は切り取られた。本棚に並べられていた本を適当に手に取っただけだったのに、それがお母さんが読んでいた本だなんて思いもしなかった。


(・・・それを何で教授は知ってるんだろ)


そのことを不思議に思って、聞こうとしたら、もう居なくなっていたから、その疑問は私の頭の中をぐるぐる駆け巡る。

ホグワーツに来て自分の兄が其処に居ることを知ったとき、心臓がドクンと脈を打って、眠れなかったのを覚えいる。お母さんのことから離れるために此処に来たのに、会わないほうがいい人物に会ってしまったのだ。


(どこに行っても駄目なのかしら)


フランスには戻れない。お母さんがあんな状態だし、私もどういう顔をして会って良いのか分かるほど大人ではない。ホグワーツにはスネイプ教授が居るけれどあの人は私のことなんてどうでも良いはずだ。つくづくハッフルパフで良かったと思う。目立ったことをしない限り、教授の目には止まらない。


(ああ、だけど)


教授はお母さんのことを知っていた。それは当たり前と言えば当たり前。もしかしかすれば、自分の父親の愛人だったということも知っていたのだろうか。

あの人は私の知らない過去を知っているのだろうか。

(私はそれを知ってもいいですか?お母さん)

黒い真っ直ぐな髪を揺らして笑いかける、お母さんを思い出して、少し悲しくなった。

(黒い髪も嫌いじゃないのに)

淡い金色の父の髪に憧れた、だけど、お母さんの髪も好きだったんだ。




愛してると言って欲しい、

それは誰にも言えない私の秘密






妖精が地面を歩いたのは
羽根を失った日の夜のこと